トラネキサム酸とは?

トラネキサム酸は人工合成されたアミノ酸の一種で、「プラスミン」という酵素の働きを抑えることで炎症やアレルギー、出血を抑制します。
医療現場では止血薬や炎症抑制薬として長年使われてきましたが、1995年に肌荒れ防止、2002年にシミ・肝斑改善効果が厚生労働省に認可され、美容医療分野でも広く活用されるようになりました。
トラネキサム酸が美白に効果がある理由【図解付き】

■ メラニンを「作らせない」働き
紫外線や摩擦などの刺激を受けると、肌内部では「プロスタグランジン」という物質が増加します。これはメラノサイト(色素細胞)を刺激し、メラニンを過剰に生成させる原因となります。
そこで登場するのがトラネキサム酸。
この成分は、プロスタグランジンの働きを根本からブロックするため、メラノサイトが過剰に活性化するのを防ぎ、メラニンの生成自体を抑えることができるのです。
つまり、シミやくすみの“予防”にも効果的。
■ 炎症による色素沈着を「防ぐ」働き
もうひとつの大きなポイントが、炎症の抑制作用。
紫外線やニキビ、摩擦といった外的刺激が肌に炎症を引き起こすと、「プラスミン」という酵素が増加します。このプラスミンがさらにメラノサイトを刺激し、色素沈着を悪化させる原因になります。
トラネキサム酸はこのプラスミンの働きもブロック。炎症を抑えることで、ニキビ跡の赤みや茶色い色素沈着の予防・改善にも効果があるのです。
■ トラネキサム酸は「守りの美白」
漂白のように肌を白くするのではなく、「黒くならないように守る」のがトラネキサム酸の美白。
そのため、シミができやすい方、肝斑がある方、炎症後の色素沈着が気になる方にこそ、早めの服用と継続がおすすめです。
用量と回数:一般推奨 vs 当院推奨

一般的な推奨量
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250mg×3回/日(計750mg)
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安全性が高く、副作用リスクが低い
当院推奨:500mg×2回/日(計1,000mg)
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朝食後・夕食後の1日2回服用で血中濃度を安定
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回数が少なく飲み忘れ防止・継続率向上
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1,000mg/日は改善スピードが早い症例が多い

美白目的でトラネキサム酸を内服する際、どれくらいの量を、どれくらいの期間飲めば効果が期待できるのか。
この点をきちんと把握しておくことが、治療効果を最大限に引き出すカギとなります。
また、トラネキサム酸は美白以外にも、肝斑・炎症後の色素沈着・ニキビの赤み・口内炎などにも効果がある多機能な内服薬です。
臨床研究に基づいたデータをもとに、用量ごとの効果をご紹介します。
1日用量/服用回数 |
効果の目安 |
改善率データ |
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250mg×2回(500mg) |
軽度改善、継続しやすい |
48%改善(8週) |
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250mg×3回(750mg) |
最適用量として推奨される |
約50%改善(12週) |
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500mg×2回(1,000mg) |
改善スピード速い |
53.8%改善(4週) |
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500mg×3回(1,500mg) |
高用量で効果増 |
86.7%改善(4週) |
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効果が出るまでの期間
継続期間 |
肌の変化 |
1ヶ月 |
くすみ軽減、トーン均一化 |
2〜3ヶ月 |
肝斑・シミの色が薄くなる |
3〜6ヶ月 |
色ムラ改善が顕著、再発リスク低下 |
美白以外の効果と適応症
トラネキサム酸は、美白だけでなく幅広い肌悩みに有効です。
症状・悩み |
期待できる効果 |
補足 |
肝斑 |
メラニン生成抑制、色素沈着改善 |
紫外線・ホルモン・摩擦が原因でも有効 |
シミ |
紫外線によるメラニン増加を抑制 |
長期で色を薄く |
そばかす |
メラニン生成抑制 |
遺伝要因が強い場合は限定的 |
炎症後色素沈着 |
ニキビ・傷跡の茶色を改善 |
抗炎症+メラニン抑制 |
ニキビ・赤み |
抗炎症で赤みや腫れを軽減 |
色素沈着予防 |
口内炎・咽頭炎 |
粘膜の炎症・痛み軽減 |
歯科・耳鼻科でも使用例あり |
蕁麻疹・湿疹 |
アレルギー反応の抑制 |
かゆみ軽減に有効 |
市販薬と処方薬の違い|どちらが自分に合っている?

トラネキサム酸は、肝斑やシミの治療薬として知られていますが、市販薬と処方薬では大きな違いがあります。
目的や症状の重さによって、どちらを選ぶべきかが変わってきます。
● 成分量が違う
まず最大の違いは、有効成分の含有量です。
市販薬(例:トランシーノ®)では、1日最大750mgまでしか含まれていません。これは比較的軽度のくすみ対策向けに設計された量です。
一方、医師が処方する処方薬では、1日1,000mgの高用量も可能。中〜重度の肝斑、色素沈着、赤みなど複合的な肌悩みに対応できます。
● 安全性と効果のバランス
市販薬は自己判断で使用できますが、その分効果は緩やかです。短期間で劇的な変化を期待するのは難しいこともあります。
処方薬は医師の診断のもと使用されるため、他の治療との併用や、副作用リスクの確認なども含めて安全に調整できます。
とくに、ピルを服用している方や血栓リスクのある方は、医師による管理が必須です。
● どちらを選べばいい?
✅ 市販薬がおすすめの方
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肌トラブルが軽度
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手軽に試してみたい
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病院に行く時間がとれない
✅ 処方薬がおすすめの方
効果を高める服用のコツ

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食後に服用し胃負担を軽減
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紫外線対策(SPF50以上)を徹底
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ビタミンC併用で相乗効果UP
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トーニングなどの併用で最大化
まとめ
本記事では、トラネキサム酸の効果が実感できる期間、用量やポイントに関して解説しました。
ATELIER Medical Clinic(アトリエメディカルクリニック)では、実績を積んだ美容皮膚科医が患者様のニキビ跡の状態を丁寧にカウンセリングし、最適な治療を進めていきます。施術後の手厚いアフターフォローも、患者様からご好評をいただいている当院の強みです。
お肌の治療だけでなく、日々のスキンケア、内服などトータル的にサポートさせていただきます。無料のカウンセリングも実施しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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